【J BLOG】パンツのプリーツの話
|リフォームこんにちは。
ここ数週間で気温がグッと下り、
めっきり秋らしい気候になって来ました。
店頭でもジャケットやコートを持ち込まれるお客様が目立ちだし、
季節の移り変わりを感じる今日この頃です。
移り変わりと言えば、
お客様が持ち込まれるパンツのシルエットが確実に太めに変化しています。
1980〜90年代風デザインというトレンドを受けての変化ですが、
太くなったシルエットがコンフォートな履き心地という点が広く受け入れられている要素でもあります。
パンツのシルエットの変化に伴って、
デザインとしてのディテイルの変化のひとつがプリーツの多様化です。
今日はこのプリーツについて少しお話しようと思います。
もともとは、腰から太ももにかけての体の動きを確保する為の機能的なモノですが、
現代に於いてはエレガントさを強調するデザインとしてリバイバルしました。
今一番時代の気分を感じるのが2プリーツです。
ヴィンテージのトラウザーズに多く見られる様に、
80年代くらい迄の太いシルエットのパンツには腰回りを「ふくよか」に見せる
2インプリーツが正統的でした。
イギリスのモノは勿論、ラルフローレンやフレンチトラッドのブランド等、
英国調をリスペクトするモノは殆どがそうでした。
対して2アウトプリーツはアルマーニを筆頭にする
イタリアンデザイナーズがこぞって取り入れていました。
インプリーツに比べて、いくぶんシャープで洗練された印象の見た目が、
英米のトラディショナルVSイタリアのモード、というわかり易い違いになっていました。
ついでに、ワンプリーツについても話すと、
英国サビルロウ仕立てのスーツのトラウザースは1インプリーツがお約束、
ナポリやミラノのサルトのスーツは1インプリーツが多く見られる事も付け加えておきます。
ノープリーツは「プレーンフロント」の呼び方がある様に、
「何もない」デザインです。
ワークウェアやミリタリーウェアの様に大量生産する実用服やスポーツウェアのディテイルとして
アメリカを中心に広まった結果アメリカントラッドの象徴でしたが、
ドレスウェアでも飾りのないシンプルでミニマルなデザインとして90年代に一世を風靡し、
現代のモダンなスーツに多く見られる様になりました。
時代の変遷の中で90年代以降大きな流行が無いまま、後付けのようなデザインの変化が続いていますが、
先述の様なコンフォートシルエットの流れと同時にドレスウェアに於いてはエレガントの復権の象徴的として
「ディテイル」に目新しさを求めている点が、洋服の意義は時代と共に変わる事の現れと感じます。
想像以上に今年の秋は季節が進行していますが、季節の変わる「端境期」こそオシャレをする絶好の季節です。
まだ衣替えをする程冷え込む事は無く、とは言え夏の服では行きは良くても帰りが心細い。
そんな時には麻のシャツやショートパンツにニットを羽織ってみたり、
夏のジャケットのまま起毛した素材のボトムを合わせる、
1点先物・1点気分を楽しむコーディネイトが着こなしに変化を与えてくれます。
色合わせを変えるだけでも良いと思います、
気分を変えて日頃眠っている感性を掻き立てて想像力を活性化させましょう。